HOW TO 講座

化粧水の成分について (1)

化粧水の役割は、肌に水分を与えて、肌を整え、やわらかくすることにあります。

化粧水の成分には、基材となるグリセリン、BG、エタノール、DPGなどに、ヒアルロン酸などの高分子、界面活性剤、エキス類や増粘剤を配合して作られます。

基本的に植物エキスは、原料メーカーから発売されているものは、BG抽出、エタノール抽出
いろいろありますが、エキスの固形濃度は1%程度となります。

ちなみに、化粧水に10%の植物エキスを配合しても、全成分の順位は上位にはきません。
あくまで、実質の濃度を基準に全成分表示を決めるためです。
おかしな業者はわざと植物エキスを順位を上げたりするので、そういう点から信頼できるメーカーかどうかを判別することも可能です。

ただし、ローズウォーターなどの芳香蒸留水は、配合濃度をそのまま順位に反映できるという特例があります。

オルビス アクアフォース(2000年発売)の全成分
  • エタノール
  • BG
  • グリチルリチン酸2K
  • ヒアルロン酸Na
  • ハマメリス水
  • 褐藻エキス
  • ソルビトール発酵多糖
  • 海塩
  • チャエキス
  • PEG-150
  • クエン酸Na
  • クエン酸
  • メチルパラベン

ここの例では、水とエタノールとBGが化粧水の基材で95%以上占めます。
グリチルリチン酸以降は1%以下の成分ですが、保湿に関与するのは、ヒアルロン酸とソルビトール発酵多糖、PEG-150となります。

イグニス クリアアップウォーターⅠ(2001年発売)
  • 変性アルコール
  • ヒノキ水
  • グリセリン
  • アシタバエキス
  • イラクサ葉エキス
  • オタネニンジンエキス
  • シナノキエキス
  • チャエキス
  • レハロース
  • ブクリョウエキス
  • ユーカリエキス
  • BG
  • イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油
  • エタノール
  • クエン酸
  • クエン酸Na
  • メチルグルセス-10
  • メチルパラベン
  • 香料

こちらも水、変性アルコール、ヒノキ水、グリセリンが基材となり95%以上占めます。
1%以下はアシタバエキス以下となりますが、保湿に関与するのはトレハロース、BG、イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油、メチルグルセス-10となります。いずれもヒアルロン酸ほどの保湿効果はありません。

上記の2種類の化粧水は、化粧水1本で保湿するというのではなく、ライン使いを前提として、
とりあえず肌の表面を整えるのが目的となりますので、保湿力そのものは弱いです。

エタノールが配合されていますが、エタノールは肌の水分を蒸発させるので、嫌われる場合もありますが、エタノールを配合すると、清涼感の演出だけでなく、
肌に浸透していく感じや単純に配合するとべたつきがでる成分のべたつきを抑えたり、各種成分の溶解性向上や防腐剤の低減にも関与する機能成分として、使われます。

TWLは経時表皮水分蒸発量といい、時間と共に肌から蒸発する水分のことです。
化粧水で与える水分より、肌の表面から蒸発する水分の方が比べ物にならないくらい多いので、
いかに蒸発を抑えるのかがポイントとなります。

化粧水の場合、閉塞性の膜を作れるのは、コラーゲン、ヒアルロン酸やポリグルタミン酸、PCポリマーのような空気中の湿気を集めて肌に水気を与える高分子やオリーブやホホバオイルなどを界面活性剤で乳化したものとなります。乳化されたオイルも水分蒸発と共に膜となって肌の表面からの水分蒸発を少なくします。

グリセリンやBG、ジプロピレングリコール、PEG-○○のような多価アルコール類、ベタイン、ピロリドンカルボン酸Naなどのアミノ酸類、マルチトールのような糖類は角質層に浸透して水分の保持を行います。

つまり、化粧水はグリセリンやベタインなどの低分子で肌に浸透する成分と、ヒアルロン酸やコラーゲンのような膜を張って肌の表面にとどまる成分の2種類から成り立ちます。

ただし、いずれの成分も高濃度にすれば、べたついたり、皮膜感がでたりするので、低分子の成分は0.5%~5%程度、高分子の成分はせいぜい0.05~0.2%程度となります。

分子が大きくなると抱え込む水の量も多くなるため、ヒアルロン酸などは0.1%で十分効果を発揮します。グリセリンは分子が小さいため、0.1%では全く保湿力はありません。
分子が大きくなれば、肌には浸透しませんが、変わりに違った機能で保湿効果を発揮します。

手作り化粧水の基本配合が、水、グリセリン、BG、ベタイン、ヒアルロン酸となりますが、この配合だけでもそれなりの保湿効果を発揮します。