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生薬データ集

ユキノシタ(雪の下、虎耳草)

ユキノシタは民家の庭の湿り気の多い岩陰などに自生しています。意外に、庭を見渡せば生えているのではないでしょうか。ユキノシタの名前の由来は雪が降り積もっても、その雪の下で元気に青々と育っていることからつけられたと言われています。茎は赤く、地上をはうように繁殖し、葉は楕円形で、上面は粗毛が密生し、厚くて緑色です。
民間薬として古くから用いられ、飲用では子供の引きつけや咳の激しいときにのませたり、皮膚外用ではできもの、はれもの、虫さされ、湿疹、あせも、切り傷そしてニキビに対して使われています。特に皮膚のタンパク分解酵素の能力を上げることが数々の皮膚疾患へ効果を発揮すると考えられています。昨今は紫外線の害が叫ばれていますが、現在のところ紫外線によって変異したDNAを元に戻す薬効は数多くの植物エキスの中でユキノシタのみにしか見つかっていません。日焼け後のケアには、ユキノシタは最適でしょう。食用としても天ぷらにして食べれば健康によいと言われています。

50%エタノール抽出液のpH:5.8、抽出液は赤褐色〜褐色。葉にフラボノイドのサキシフラギン、硝酸カリウム、塩化カリウム、タンパク分解酵素活性化成分が成分。
これは、ユキノシタを掘り出して根っこを切り落とした後、水洗いにしたものです。このあと、紫外線に当たらないように日陰で干して乾燥させた後、アルコールにつけて成分を抽出します。
抗アクネ、美白、抗しわ効果を持ちます。私事ですが、特にニキビへの効果は絶大で抗生物質より効きました。なかなか民間伝承薬もあなどれんものです(笑)

ボタンピ(牡丹皮)

50%エタノール抽出液のpH:5.8

ペオノール、フィトステロール、グルタミン、タンニンが成分。

観賞用に広く栽培されている牡丹の根っこの部分を使い、内服では消炎、解熱、鎮痛、浄血を薬効にもち、皮膚外用では美白、抗炎症、抗酸化が期待できます。また、他の生薬成分の薬効を増加させる効果もあるようです。

クジン(苦参)

50%エタノール抽出液のpH:5.9

アルカノイドのマトリン、オキシマトリン、ソフォラフラバンGが成分。

漢方では掻痒症、炎症性の皮膚疾患に外用されるクジン湯に使われます。民間療法として入浴剤としても用いられます。殺菌力が強く、水虫に対して使われる他、皮膚外用では美白、抗しわ効果があります。また、50%エタノールで抽出した後、水を加えると精油が分離するので、その精油を植物油に加え美容オイルとして用いればよろしいでしょう。ただし、クジンの成分はアルカロイドであるために他のタンニン酸を含有する成分と混同して使うことはできません。

ウワウルシ(クマコケモモ)

50%エタノール抽出液のpH:5.4

アルブチン、ハイドロキノン、エラグ酸、タンニンが成分。

漢方では尿路消毒のほか、民間薬として毛染めかぶれに使用される。アルブチンを7%以上含み、皮膚外用では美白、抗酸化効果に優れています。現代の美白剤を代表する成分が、実は漢方薬や民間療法で飲用されてきたというのは面白い事実だと思います。

ソウハクヒ(桑白皮)

50%エタノール抽出液のpH:5.8

αーアミリン、βーアミリン、シトステロール、ジスチルベンが成分。

蚕のエサになるクワの根っこ。漢方では飲用で消炎、利尿、咳止め、鎮痛剤として使われ、皮膚外用では特に美白効果があるため美白化粧品に配合されることが多い。

オウゴン

50%エタノール抽出液のpH:5.8

バイカレン、バイカリンが成分。

コガネバナともいい、鉢植えの観賞用としても栽培されます。漢方では飲用で消炎、解熱、下痢止めに用いられます。皮膚外用では抗炎症、抗アレルギー、美白効果があります。50%エタノールで抽出し、そのあと水を加えると水不溶性の成分が析出するので、それを濾過して使ってくださいな。

トウキ(当帰)

50%エタノール抽出液のpH:5.8

ブチリデンフタライドでその他、ワレロフェノンカルボン酸エステル、ベルガプテンが成分。

漢方では飲用で浄血、沈痛、沈静、補血、婦人病に用いられます。民間では、精油に末梢血管拡張作用があることからしもやけに使われる他、入浴剤に用いられます。アトピーの入浴療法としても、皮脂分泌効果により皮膚の乾燥を改善させ、症状緩和に役立っています。皮膚外用では皮脂分泌促進、保湿効果、抗炎症、抗アレルギー、美白効果があります。アルコールに弱い方は、50%BGで抽出した後、それを自作の石鹸に配合したり入浴剤としてご使用することをお勧めします。また、無水エタノールで抽出した後、水を加えると精油が分離するので、その精油を植物油に加え美容オイルとして用いればよろしいでしょう。

シャクヤク(芍薬)

50%エタノール抽出液のpH:5.8

ペオニフロリン、オキシペオニフロリン、アルビフロリンが成分。

牡丹と同じく観賞用として広く栽培されます。

漢方では飲用で刺すような痛み、発作性の痛みに対する鎮痛、鎮静の他、腹痛、月経痛、神経痛に用いられます。皮膚外用では皮脂分泌抑制、保湿効果があります。

ローズマリー

ローズマリーはアロマセラピーでよく使われますが、アルコール抽出で溶出する最も注目すべき成分がウルソール酸です。ウルソール酸は融点(固体から液体に変わる温度)289℃と非常に高く、水蒸気蒸留では流出せず、アルコールで浸すことにより抽出することができます。そしてウルソール酸はビタミンA酸なみの出来たしわを改善する能力にたけて、ビタミンAに比べて高額であるため、国内外の高額しわとり化粧品のみに配合されています。なお、FAQにローズマリー軟膏の製作法をUPしていますので、参考にして下さい。

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ユキノシタ
クジン
シャクヤク
ボタンピ
ウワウルシ
ソウハクヒ
保湿          
美白 1 MSH系 1 1 2 1
抗しわ  
コラーゲン
産出増加
         
抗炎症    
抗アレルギー      
毛細血管拡張        
皮脂分泌促進            
皮脂分泌減退          
抗男性ホルモン        
育毛        
アルカロイド          
タンニン酸、
もしくは酸を含有
   
民間療法の実績 ニキビ、
かぶれ
水虫、
腫れ物
    かぶれ  
皮膚用医薬品
としての実績
        抗炎症剤  
特記事項         ステロイドを100倍に高める効果がある  
オウゴン
トウキ
カンゾウ
カモミール
ローズマリー
セージ
保湿    
美白 1 1 1 1 1 1
抗しわ        
コラーゲン
産出増加
         
抗炎症
抗アレルギー  
毛細血管拡張        
皮脂分泌促進          
皮脂分泌減退            
抗男性ホルモン      
育毛    
アルカロイド            
タンニン酸、
もしくは酸を含有
     
民間療法の実績       かぶれ    
皮膚用医薬品
としての実績
抗炎症剤   抗炎症剤 抗炎症剤 抗炎症剤  
特記事項       西欧の民間治療薬として有名。ローマンカモミールを使う 抗酸化力が非常に強く抽出エキスが食品添加物としても利用されている 接触皮膚炎を強く抑える

【保湿】
保湿は、グリセリンと同等もしくはそれに近い保湿力をもつものです。ただし、生薬系保湿剤は生薬の配合量を増やしても、尿素やグリセリンのように保湿力が増加するわけでないのでいくつかの種類類の保湿剤を併用した方がよいでしょう。保湿に関しては生薬よりベタインの使用をお勧めします(2001.11追記)

【美白】
美白は使用していると肌が明るくなったり、しみが消えたりという美白効果を発揮するものです。1種類の作用機序を持つものを1、2種類の作用機序をもつものを2にしています。また、近年発見された特殊な美白機構をもつもので、MSH(MSHホルモン阻害)系としています。美白効果がいまいちのときは違う機構のものを使えばよいでしょう。

【抗しわ】
抗しわはしわ予防やできしたしわを治す作用をもつものです。

【コラーゲン合成促進】
コラーゲン合成促進は試験管内でヒト細胞にビタミンCと同等、もしくはそれ以上のコラーゲン合成を促すものです。ニキビ跡の凹み部分をコラーゲン合成促進により治すことが期待できるかもしれません。

【抗炎症】
抗炎症はかぶれや赤み、ぶつぶつを治すことが期待できる作用です。

【抗アレルギー】
抗アレルギーは接触皮膚炎を起こしにくくする作用です。つまり、アレルギー反応を起こす成分(パラベン等が代表例)が入っていても、かぶれにくくなったりかぶれてもすぐになおるようになります。

【毛細血管拡張】
毛細血管拡張は血流を増加させることで、皮膚温度を高めたり、肌の細胞にたまった老廃物の排出促進に役立ちます。主に冬期に重宝する作用でしょう。×は逆に毛細血管を引き締め、肌のほてり感改善、赤み改善を行います。

【皮脂分泌促進
皮脂分泌促進は、皮脂の合成を盛んにすることにより保湿が期待できます。

【皮脂分泌減退】
皮脂分泌減退は、皮脂の合成を抑えることにより、オイリー肌の改善に期待することができます。

【抗男性ホルモン】
抗男性ホルモンは皮脂の合成を抑えたり、抜け毛予防を期待できる作用です。

【抗アクネ】
抗アクネはニキビ改善に期待できる作用です。

【育毛】
育毛は育毛効果がたかいものです。50%エタノールで抽出して薄めずに使わればよろしいでしょう。

【アルカロイドとタンニン酸】
アルカロイドとタンニン酸アルカロイドを含むものとタンニン酸を含むものを混ぜ合わせると、お互いの有効成分がくっついて沈殿を起こしたりするので、混ぜないよう注意して下さい。

【民間薬としての実績】
民間薬としての実績は、日本で古来から行われてきたニキビの伝統療法に使われてきたものです。

【皮膚外用剤】
皮膚外用剤としての実績は、皮膚に塗る医薬品として認められているものです。ここでいう医薬品というのは、効力が確かというのもありますが、例えば10人中7人や8人等多くの方がその効果を実感できるものだと考えて下さい。
基本的に生薬は1つの化粧水に多くても4種類くらいまでに制限しておいた方が無難です。

各種特許や文献から抜き出しました。効能効果は医薬品でもないので、必ずあるというわけではありません。

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チロシナーゼ阻害試験から見た生薬エキスの美白力

各エキスを化粧水に何パーセント配合すれば、どのくらいのメラニンを作らせないかを表しています。数字が大きいほど、効果が強いことを表しています。試験管内での試験なので、そのまま美白力の強弱に表れるわけではありませんが、5%も配合すれば、市販の化粧品と何ら遜色がないことがわかります。なお、エキスは単独より組合わせた方が効果は高くなります。豚プラセンター原液はとても低くく、驚かれる方もおられるかもしれませんが、もともとプラセンターエキスは美白力が低いので、こんな程度です。
手作りの生薬エキスも市販の生薬エキスやプラセンターエキスに匹敵することが理解していただけると思いますので、あまり高濃度に化粧水へ配合されないように気をつけてください。


チロシナーゼ阻害試験の詳細についてはHow to講座の生薬の美白力生薬化粧水作成ガイドラインを参考にしてください。

◆ 生薬組み合わせによる相乗効果の測定結果(100に近いほどメラニンを作らせない力が強い)

1%ずつ配合 2.5%ずつ配合 5%ずつ配合
自作甘草 50%BG抽出と自作ソウハクヒ 50%BG抽出 74 88 93
自作甘草 50%BG抽出と自作ウワウルシ 35%エタノール抽出 83 98 100
自作ソウハクヒ 50%BG抽出と自作ウワウルシ 35%エタノール抽出 83 96 99

◆ 各生薬単独と市販の化粧品の測定結果(100に近いほどメラニンを作らせない力が強い)

1%配合 5%配合 10%配合 原液
自作ユキノシタA 50%BG抽出 - 26 - -
自作ユキノシタB 50%BG抽出
(Aとは生薬購入先が違う)
1.5 7.1 75 -
自作ソウハクヒ 35%エタノール抽出 13 56 89 100
自作クジン 45%BG抽出 39 75 78  74
自作甘草 50%BG抽出 45 73 93  -
自作ウワウルシ 35%エタノール抽出 47 74 100 -
自作ジャーマンカモミール 35%エタノール抽出 - 22 - -
自作セージ 35%エタノール抽出 - 19 - -
自作ロースマリー 35%エタノール抽出 - 11 -  -
自作ヨクイニン 35%エタノール抽出 - 1未満 - -
自作火棘 35%エタノール抽出 - 1未満 - -
ソウハクヒエキス 50%BG(原料メーカーBから入手) 61 96 - -
ダイズエキス 50%BG (原料メーカーAから入手) 1未満 9.9 - -
ユキノシタエキス 50%BG(原料メーカーAから入手) 2.6 19 - -
ユキノシタエキス 50%BG(原料メーカーBから入手) 6.1 - - -
市販美白医薬部外品化粧水1 大手メーカー製
(グルコシド型ビタミンC誘導体、クジンエキス、オウゴンエキス)
- - - 74
市販美白医薬部外品化粧水2 大手メーカー製
(グルコシド型ビタミンC誘導体、ユキノシタエキス)
- - - 11
市販美白医薬部外品化粧水3 大手メーカー製
(グルコシド型ビタミンC誘導体、甘草エキス、プラセンタエキス)
- - - 99
市販化粧水4 大手メーカー製
(緑茶エキス、ハマメリスエキス)
- - - 41
市販化粧水5 中堅メーカー製
(リン酸型ビタミンC誘導体、ソウハクヒエキス、カワラヨモギエキス)
- - - 77
市販豚プラセンターエキス原液A - - - 45
トゥヴェール アクアナノライズジェル - - - 97
3%アルブチンジェル - - - 37

:: チロシナーゼ阻害試験結果2 ::::

2003年12月に多くの方に抽出エキスを提供していただき、「ちゃんとエキスが抽出されているか」ということを確認致しました。結論から、クジン、カンゾウ、ソウハクヒ、ユキノシタ、ボタンピなどは個人差無く抽出されていますが、ウワウルシに関しては、個人差が大きいことがわかりました。また、30%エタノール抽出、50%BG抽出共に抽出結果には差が無いこともわかりました。

試料名(エキス単独)
エキス5%希釈時測定結果(最低、最高)
平均値
最高値
最低値
クジン9検体
92
100
87
カンゾウ8検体
93
98
90
ソウハクヒ8検体
84
100
73
ユキノシタ7検体
31
63
15
ボタンピ6検体
81
92
55
ウワウルシ7検体
10
0
ジャーマンカモミール2検体
55
65
46
ローマンカモミール1検体
56
56
56
シャクヤク1検体
22
22
22
ゆずの種1検体
0
0
0
ヒース1検体
76
76
76
イタドリ1検体
75
75
75
ヒオウギ1検体
53
53
53
紅花(コウカ)1検体
59
59
59
ローズピンク1検体
91
91
91

:: 混合エキス ::::

試料名
エキス測定結果
1%
2.5%
5%
ウワウルシ、カンゾウ、ユキノシタ
35
75
91
ウワウルシ、ソウハクヒ、カンゾウ、ユキノシタ
73
80
91
ソウハクヒ、カンゾウ、ウワウルシ
82
85
94
カンゾウ、ソウハクヒ  
74
88
カンゾウ、ウワウルシ  
83
98
ソウハクヒ、ウワウルシ  
83
96

混合エキスは、それぞれの生薬エキス原液を同じ割合(ユキノシタ10g、ウワウルシ10g、カンゾウ10gというようにしています)で混ぜたものを各濃度に蒸留水で薄めて測定しています。

生薬エキスを単独で使用されるより、複数の生薬を合わせてお使いになるほうが、薄い濃度でも効果が強くなります。敏感肌の方にとって、エキス濃度が高いと刺激になる場合があるので、複数の生薬を組み合わせて、薄いの濃度で使われることをお勧め致します。なお、エキス濃度を高くしても比例して効果は上がらないことから、クジン以外の生薬を使う場合は、複数の生薬を使われることをお勧めします。

:: エキスの時間的な劣化 ::::

抽出エキスはウワウルシを除いてエキス原液を冷蔵庫で保存していただく限り、半年〜1年では劣化しません。ただし、抽出エキスを水で薄めると、エキスの劣化を防いでいたエタノールやBGの濃度が下がる為、エキスが劣化していきます。抽出エキスを化粧水にして、冷蔵庫保存と50℃での3週間保存によりエキスの劣化具合を調べてみました。50℃で様子を見るのは、化粧水にした場合において1年後のエキスの劣化具合を予想するためです。手作り化粧水の場合は室温で1ヶ月安定であれば十分なのかもしれませんが、せっかく配合するのですから、1年は安定なものを作りたいものです。

クジンエキスを例にしています。クジンエキスを単純に水で薄めたものは、冷蔵庫保存、50℃保存ともに変化はしていませんが、pH9.6(pH9.6はビタミンC誘導体を5%配合した場合を想定しています)では50℃保存でかなり劣化して、エキスの美白力(チロシナーゼ阻害度)が半分以下になっています。エキスの美白力が半分ということは、実際の化粧水に配合したクジンエキスの濃度は1%程度に相当し、保存中に4%つまりエキスが80%も分解していることを示しています。これは単純にビタミンC誘導体とクジンエキスを混ぜる時間が経てばかなり分解が進むことを示しています。一方、pHが低いとエキスの美白力はあまり衰えていません。エキスの安定性というのはpHに依存していることが伺えます。ただ、エキス原液のpHは基本的に弱酸性で、そのまま薄めて使えば、弱酸性のpHになるためクエン酸などのpH調整剤を入れる必要はありません。以上のことから、たとえエキスを高濃度に配合しても、配合する成分の組み合わせによっては、期待に反してエキス成分が分解してしまうことがわかります。

  また、エタノールやBGを入れたものは数値が上昇していますが、これもエキスの分解を残念ながら阻止していません。数値が上昇するということもエキス中の大きな分子が分解して細かい分子となり、美白力が見かけ上はあがっていますが、エキスの分解を示しています。後半に肌水を加えたものの数値が高いですが、これは使用したクジンエキスが最初に使ったものと違うためで肌水の効果ではありません。
  市販品の安定性も同様に評価しました。5種類のうち3種類は概ね安定性が高いです。2種類は変化していますので、大手化粧品メーカーであっても生薬エキスの安定性確保には苦労してそうです。その中で市販化粧水4(販売は中堅であるが製造は大手メーカー)にクジンエキスを足したところ、肌水に足した方が結果がよくなりました。また、クジンエキスとの相乗効果もなくむしろエキスの効果は落ちています。これは配合する生薬の相性によっては、効果を相殺する場合があるということを示しています。

  我々が作るエキスは悲しいことに時間が経てば分解していきます。冷蔵庫で保存していれば少なくとも菌の繁殖は別にして、エキス自体の分解はある程度防げるようです。ただ、今回の数値にはでていない化粧水の外観変化、つまり沈殿物の発生などは市販品では全くありませんでした。自作エキスのものはすべて量の違いはあっても50℃3週間保存分はすべて沈殿物が発生しています。これはエキスの分解が起こり、エキスの調合時と成分が変化して水に溶けにくくなるためで、まだまだ検討が必要な分野でもあります。薬事法ではいい加減に作られた商品が消費者の手に渡るのを防ぐため、化粧水に沈殿がでたりすると市場からの回収命令が出されます。たとえばポリフェノールやフラボノイドが酸化すると化粧水が褐色になったり、沈殿がでるので、外観変化というのは化粧水の安定性変化の尺度としては、重要なポイントとなります。

なお、市販化粧水より手作り化粧水の方が生薬エキスの濃度が濃くなる傾向にあります。単独でも複数の生薬エキスを組み合わせる場合も5%程度で十分だということがわかります。

試料名
2℃×3週間
50℃×3週間
クジン5%+水(pH5.6)
61
64
クジン5%+水(pH9.6)
-
32
クジン5%+エタノール20%+BG10%+水(pH5.6)
68
86
クジン5%+エタノール10%+BG10%+水(pH10.6)
-
49
クジン5%+BG30%+水(pH5.6)
-
86
市販部外品化粧水1  通販大手 クジン、オウゴン
74
57
市販部外品化粧水2  通販大手 ユキノシタ
11
22
市販部外品化粧水3  通販大手 プラセンタ、カンゾウ
99
99
化粧水4         通販中堅 緑茶
41
42

化粧水5         通販中堅 プロポリス

77
79
以上、チロシナーゼ阻害試験結果報告書3より
クジン5%+肌水(資生堂)
91
95
クジン5%+BG10%+肌水(資生堂)
88
95
クジン5%+化粧水4
67
83
市販部外品化粧水6   大手
67
67
以上、チロシナーゼ阻害試験結果報告書5より

:: 生薬エキス抽出の結果判定法 ::::

抽出したエキスに美白力があるか、また市販の化粧水や原液エキスと比べるとどうなのかということを調べることに使います。
<やり方>
1.白いマッシュルームを2個用意する。
2.マッシュルームをおろしがねですりおろす。
3.40℃程度の温かいお湯約400mlにすりおろしたマッシュルームを加えて数十秒かきまぜる。
4.茶漉しでマッシュルームと抽出液にわけて、抽出液を軽くかき混ぜて均一にする。
5.この抽出液を透明なガラスコップに3つか4つ程度に小分けする。
6.小分けしたガラスコップのうち1つには何もいれないで、残りの分に生薬エキスなら小さじ半分、化粧水なら大さじ一杯程度加える。
7.数時間おいて色の変化を確認する。生薬エキスの効果がでているものは、色の変化はないかもしくは少ないので、何もいれていないものと比較してください。


ユキノシタやウワウルシには使えませんが、そのほかのエキスや市販の化粧品には使えますので試してみてください。チロシナーゼ阻害度が高い生薬ほどメラニンを作らせませんので、マッシュルームのチロシナーゼ酵素の活性を阻害して、色の変化がありません。

:: 市販化粧水中のエタノール、BG、グリセリンの配合量 ::::

以下にエタノール、BG、グリセリンなどの量について調べた結果です。

 
エタノール
BG
グリセリン
部外品1
7.7%
2.5%
0.4%
化粧水4
4.7%
5.3%
1.5%
化粧水5
0.1%
11.0%
0.1%

 部外品1の成分表示:水、エタノール、ハマメリス水、BG、アスコルビン酸グルコシド、グリチルリチン酸2K、ベタイン、クララエキス(クジンエキス)、オウゴンエキス、チンピエキス、グリセリン、水酸化K、クエン酸Na、クエン酸、メチルパラベン

美白化粧水となるので、アスコルビン酸グルコシドというビタミンC誘導体がこの化粧水の効果の主体となります。BG、ベタイン、グリセリンが保湿成分で、エタノールとBGが抗菌とさっぱり感(エタノール)を出しています。クエン酸Na、クエン酸がpH調整剤となって弱酸性を保つことで、ビタミンC誘導体と植物エキスの分解防止を行っています。

化粧水4の成分表示:水、BG、エタノール、グリセリン、温泉水、PEG−60水添ひまし油、ビタミンB6塩酸塩、ハマメリス水、緑茶エキス、メタリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、フェノキシエタノール、香料

ハマメリス水、緑茶エキスがこの化粧水の主成分で引締め効果が主体です。BG、グリセリンが保湿成分です。メタリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸がpH調整剤となり、植物エキスの分解防止を行っています。BG、エタノールに関してはフェノキシエタノールと共に抗菌もかねています。

化粧水5の成分表示:水、BG、プロポリスエキス、リン酸アスコルビルMg、グリチルリチン酸2K、アロエベラエキス-1、クエン酸Na、クエン酸、ソウハクヒエキス、シコンエキス、シソエキス、ビワ葉エキス、オレンジ果汁、レモン果汁、メリッサエキス、モモ葉エキス、カワラヨモギエキス、エタノール、グリセリン、メチルパラベン

プロポリスエキス、リン酸アスコルビルMg,グリチルリチン酸2Kがこの化粧水の主成分です。保湿はBGのみで、グリセリンも入っていますが、量が少なすぎて何かの植物エキスの溶剤として使われていたのでしょう。エキスの名前は沢山並べてありますが、チロシナーゼ阻害度からみるとほとんど入っていないことがわかります。中小企業はたくさん種類が入っていることをアピールして差別化して売らないとしょうがないので、致し方ありません。

エタノールとBGの量がいずれの化粧水も合計すると11%前後になっています。偶然とはいえ面白いですね。これらは、植物エキスの劣化防止と防腐剤の低減などを目的として配合されています。手作り化粧品においても、配合したエキスの劣化防止と防腐力向上のため、エタノールとBGは合計10%程度配合されることをお勧めします。

:: 外部検査機関への試験依頼結果 ::::

ここではデータを掲載するにあたって、試験を検査機関に依頼した結果を掲載しています。
外部機関に依頼する理由は、データの信頼度を上げるためです。

チロシナーゼ阻害試験結果報告書1
ページ1 ページ2 ページ3
チロシナーゼ阻害試験結果報告書2
ページ1 ページ2 ページ3 ページ4
チロシナーゼ阻害試験結果報告書3
ページ1 ページ2 ページ3 ページ4 ページ5
チロシナーゼ阻害試験結果報告書4
ページ1 ページ2 ページ3
チロシナーゼ阻害試験結果報告書5
ページ1 ページ2 ページ3 ページ4 ページ5 ページ6
 BG、エタノール等含有量調査報告書1  ページ1 ページ2 

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