HOW TO 講座

特許について

もし、化粧品の成分について詳しく知りたいことがある。
そういうときに役立つのが特許です。
特許とは企業が研究した成果を公開する代わりに、その権利を保障してもらう
仕組みであり、企業の研究成果がそこに記されています。

つまり、特許を調べれば企業が得た知見を知ることができます。

今はインターネットが普及しているので、特許を簡単に調べることができます。
http://www7.ipdl.ncipi.go.jp/Tokujitu/tjkta.ipdl?N0000=108

こちらが特許庁のホームページで
検索項目選択で「要約+請求の範囲」を選んで、
検索キーワードで知りたい単語を入力してください。
たとえば「ユキノシタ」と入力して、下の検索ボタンを教えてください。
特許があればヒット件数としてユキノシタに関連した特許の数が表示されます。
次に一覧表示ボタンをクリックすると特許がずらずらと表示されますので、
興味ある特許をクリックしてください。
特許が表示されたら一番左上の全項目をクリックすると特許全文を読むことが出来ます。

たとえば生薬でしたら具体的な抽出方法や配合量などが記載されているので、
ただで化粧品に関する情報を詳しく知ることができます。

ただし、日本やアメリカの特許というのは、嘘を書いていることもあって
そのままの通りにしてもモノは作れないことが多いです。

中国が急激に発展した一因がこの特許を参考にして新技術を学んでいったということが
あげられます。使い方によっては強力な味方となるでしょう。

ちなみによく新聞などで大手の化粧品会社が○○のエキスにこういう効果を見つけたという
新聞発表が載ることがあります。何もあれは新聞発表の前月や前々月に見つけた
ことではないんですね。実は、新聞発表というのはその前後に特許が公開された
タイミングで行われることが多いのです。

特許が出願して公開されるまでに1年半の期間があり、、
彼らはそれ以前に研究していてその成果を特許として出願しているわけです。
ずいぶん前に見つけていることが多いのですが、それをあたかも最近見つけたように
発表して、消費者に興味を持たせて商品を売るのが最近のパターンです。

なお、化粧品の特許というのは取り易いこともあって、
毎年沢山の特許が出願されています。

大手企業も研究者を取り巻く環境が厳しくなっているせいか
みんな知っているようなことまで特許出願を行うようになってきて
最近は特許の質も落ちつつあります。

たとえば「コエンザイムQ10とビタミンAを一緒に配合すると良い」ような
素人でも思いつきそうなことをわざわざ大会社が出願したりしています。
(おかげでアクアナノライズジェルにコエンザイムQ10を配合できなくなりました。)

特許は出願しただけではだめで、1年半後に公開されたあと、
ほかの企業からのクレームも無く、先進的な技術として認められたら
ようやく特許となります。

そのため、企業では特許出願と他社が出願した特許にクレームを出して潰すことも
同じくらい重要な評価を与えられます。

ずいぶん昔の有名な話ですが、アミノ酸で有名な企業がアミノ酸型界面活性剤を
開発して、化粧品会社に売り込んだところ、売込み先の1社が特許を出願していないことに
気がついて、大量の特許を出願してこの商材を他社に使えなくしたという
話があります。原料会社の致命的なミスですが、原料開発と同時に
特許取得の必要性を大いに認識させた事件でもありました。

近年では化粧品の全成分表示が決まったときに有名な無添加を売りものにする企業が
進んで全成分表示を行ったところ、大手企業の特許侵害を行っているのがばれてしまった
というなんとも情けない話もあります。

ちなみに、特許というのは技術者にとっては経歴書という側面を持っています。

キーワード検索で研究者の名前を入れて検索することで、
企業における研究者の人事がよくわかります。
肩書きがだんだん上がっていく人もいますし、技術者の肩書きでどういう分野に
企業が注目しているかということもわかります。
また、特許に名前を連ねている人ほどヘッドハンティングの対象にされます。

特許調査は非常に勉強になると思いますので、
お時間があるときにされたらよいでしょう。